研究倫理宣言・倫理規程

日本教育社会学会研究倫理宣言

日本教育社会学会および会員は、人間の尊厳を重視し、基本的人権を尊重すべき責任を有している。その活動は、人間の幸福と社会の福祉に貢献することを目的とする。

 

会員は、学問水準の維持向上に努めるのみならず、教育という人間にとって枢要な営みを対象としていることを深く自覚し、自らの行為に倫理的責任をもたなければならない。

 

会員は、学問的誠実性の原理にもとづき、正直であること、公正であることに努め、他者の権利とその成果を尊重しなければならない。

 

会員は、専門家としての行為が、個人と社会に対して影響があることを認識し、責任ある行動をとらなければならない。

 

学会および会員は、この宣言を尊重して行動し、宣言の精神を広く浸透させるよう努めなければならない。

 

2001年10月8日
日本教育社会学会

 

研究倫理綱領案の策定について(答申)(rtfファイル)
研究倫理宣言の主旨(docファイル)

 

日本教育社会学会倫理規程

2019年9月12日に開催された平成30学会年度総会において、下記の「日本教育社会学会倫理規程」が承認され、施行が決定したことを報告します。


 

日本教育社会学会は、研究・教育および学会運営にあたって依拠すべき基本理念として「日本教育社会学会研究倫理宣言」を発表している。本学会はこの「研究倫理宣言」の趣旨を達成するため、「日本教育社会学会倫理規程」を設ける。本倫理規程は、日本教育社会学会員が心がけるべき倫理コードを示すものであり、会員は、本規程を十分に認識し、遵守しなければならない。

 

第1条 基本的人権の尊重

日本教育社会学会(以下、本会)および会員は、基本的人権を尊重し、人間の幸福および社会の福祉への貢献を目指して、研究、教育その他社会活動に努めなければならない。

 

第2条 社会的責任

本会および会員は、教育社会学にかかる研究および教育その他社会活動が社会からの信頼により成立していることを認識し、自らの活動が社会に与える影響を自覚し、公正かつ誠実な活動に努めなければならない。

 

第3条 社会調査の倫理

1〔調査研究の社会的影響に対する自覚〕会員は、調査研究が調査対象者および調査フィールドに対して社会的影響を及ぼし得ることを自覚し、倫理に反する調査の実施を避けなければならない。
2〔プライバシーの保護と人権の尊重〕会員は、研究活動において知り得た情報を不当に利用してはならず、また、とりわけ調査対象者のプライバシーの保護および基本的人権の尊重に最大限努めなければならない。
3〔インフォームド・コンセント〕会員は、研究にあたっては、別に定める例外によらないかぎり、その目的、過程全般、成果の公表方法、終了後の対応等をあらかじめ調査対象者・その保護者等に対して十分に説明し、調査対象者あるいはその保護者等から調査に対する同意を得なければならない。

 

第4条 差別的な取り扱いの禁止

会員は、研究、教育その他社会活動にあたっては、社会の多様性を尊重しなければならず、また、性別、年齢、出自、経歴、宗教、人種、エスニシティ、国籍、言語、障害、健康状態、性的指向、ジェンダー・アイデンティティ、思想信条、家族状況等を理由として差別的な取り扱いをしてはならない。

 

第5条 ハラスメントの禁止

会員は、セクシュアル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントその他のハラスメントにあたる行為をしてはならない。

 

第6条 研究不正の禁止等

1〔捏造・改ざんの禁止〕会員は、研究にあたっては、理由の如何を問わず、データを捏造し、または改ざんしてはならず、また、取得したデータの適切な保管および管理に努めなければならない。
2〔剽窃・盗用の禁止〕会員は、研究のオリジナリティを尊重しなければならず、また、理由の如何を問わず、他人の研究を剽窃し、または盗用してはならない。

 

第7条 その他の不正行為の禁止

1〔研究資金の適正な取り扱い〕会員は、研究資金を適正に取り扱わなければならない。
2〔発表倫理の遵守〕会員は、二重投稿、ギフト・オーサーシップ(研究に実質的な関与のない者を著者とすること)、ゴースト・オーサーシップ(研究に重要な関与のある者を著者から外すこと)その他の発表倫理に反する行為をしてはならない。
3〔利益相反の禁止〕会員は、所属機関、資金提供者、情報提供者等との間で、本規程に反する契約をし、または約束をしてはならない。

 

第8条 相互連携と研鑽等

1〔相互連携〕会員は、教育社会学の専門家として、専門的能力の維持および向上に努めるとともに、教育社会学の発展および普及を目指して相互に連携および協力をしなければならない。
2〔相互批判・相互検証の場の確保〕本会は、研究および教育活動に関する倫理の啓発、研究の相互批判および相互検証の場の確保に努めなければならない。
3〔倫理の研鑽と啓発〕会員は、研究および教育活動に関する倫理を学び、自己研鑽および倫理の啓発に努めなければならない。

 

第9条 社会的還元

会員は、社会的還元に留意して研究活動を行うとともに、研究の公共性および社会的責任を自覚し、研究成果の公表に努めなくてはならない。

 

第10条 規程の運用

1〔倫理委員会〕本会は、本会の活動における倫理的な問題に対応するため、別に定める「日本教育社会学会倫理委員会規程」により、本会に「日本教育社会学会倫理委員会」を置く。
2〔倫理ガイドラインの策定〕本規程の施行に際しては、具体的な運用のための「日本教育社会学会倫理ガイドライン」を別に定める。

 

付則

1.本規程は、2019年9月12日より施行する。
2.本規程の変更は、日本教育社会学会理事会の議を経るものとする。

 

日本教育社会学会倫理規程の制定に至る経緯(PDFファイル)
日本教育社会学会倫理規程の性格と作成方針について(PDFファイル)
「研究倫理宣言」と「倫理規程」の対応表(PDFファイル)