会長再任のご挨拶(吉田 文)

早稲田大学 吉田 文
2019年12月

 

 何とか2年間の任期を終えられそうだと思っていた頃、再び、会長に選出されました。「もっと仕事をせよ」という皆様のお声であると肝に銘じ、お引き受けすることにしました。これまでも、理事として常務会のいくつかの仕事を担当し、学会運営の一端を垣間見てはきましたが、会長となってつくづく感じたことがあります。それは、理事会、常務会の委員の方々が渾身で仕事をしてくださることです。会長自らが何かをしなくても、常務会の各部・各委員会が機動的に仕事をし、結果として自然に学会が運営されていくのです。まったくのボランティアでここまでできることに、感動すら覚えます。会長としては、このことに心よりお礼申し上げるとともに、これからの2年間も同様に支えていただきたくお願いする次第です。

 

 今期は、学会の一般社団法人化という大きな課題があります。現在の任意団体としての学会では、財産の所有、契約に関する権利義務関係が曖昧なままです。学会の財産は会長の個人資産と見做されます。一般社団法人となることで、法律上の主体となり、学会活動の明確化を図ることにメリットがあるのですが、他方で、法令に規定された会計監査や役員選出が必要となり、現在の学会運営の仕組みの変更を余儀なくされるところがあります。なるべく現行の方式を変えずに、スムースに法人に移行できるよう努めてまいります。

 

 また、前期からの継承事項として、学会のグローバル化をさらに進めていきたいと考えております。中国の教育社会学会、台湾の教育社会学会との定期的な交流は、すっかり定着した感がありますが、まだまだ一部の会員の交流に限定されていると見受けられます。より多くの会員が参加する研究交流や、中国・台湾以外の国々へもウィングを広げることが課題です。

 

 教育社会学会の会員数は、ここ数年1,500名弱でほとんど変動がありません。少子化、研究職の減少などにより、会員数の減少に見舞われている学会が出ているなか、会員数に変動がないということは、一定数の入会者が存在することによるものであり、喜ばしいことです。しかしながら、この状況に安穏とはしていられません。会員へのサービス、とりわけ若手研究者への支援の充実は必須です。さらには社会のニードを汲み取り、研究として結実させていくことが何より重要です。

 

 会員の皆様が、教育社会学の研究や教育に力を尽くしていただけるような学会にすることが、会長の仕事と心得ます。忌憚のないご意見・ご要望をお寄せください。