会長就任のご挨拶(酒井朗)

上智大学 酒井 朗
2023年9月

 

 この度、一般社団法人日本教育社会学会の会長ならびに代表理事を拝命しました上智大学の酒井朗(さかいあきら)です。本学会は1948年の設立以来75年にわたり、教育社会学の発展と会員相互の研究交流の促進を目指して運営されている学術団体です。2023年11月には、長年の懸案であった法人格を取得しました。学術の内側だけにとどまらず、教育に関心を持たれる多種多様な関係者の方々に向けて、より一層発信力を強化して参りたいと存じます。

 

 本学会には現在1,500名近くの会員が所属し、日本ならびに諸外国の様々な教育事象や教育に関わる諸課題について活発に研究成果を発信しています。近年社会的に注目されている教育格差の問題や、グローバル化が教育の各分野にもたらす影響、あるいはジェンダーと教育の関わり、学校教育と労働市場の接続の問題なども多くの会員が取り組んでいます。さらにいじめ・不登校や教師の働き方改革などの教育問題や大学改革の動向などについても多数の研究成果が産出されています。

 

 私どもの学会は、会員相互の自由闊達な対話と積極的に社会に発信する姿勢に富み、長年にわたり各分野から高い注目を集めて参りました。毎年秋に開催される学会大会では、多くの会員が研究成果を報告し合い、交流を深めています。また非会員の方も多数参加されています。大会では様々なキャリア段階にある研究者が自身の研究成果を発信していますので、まだ本学会に入会されていらっしゃらない方もぜひ一度、大会にご参加ください。

 

 このほか本学会には若手研究者支援にも力を入れております。若手研究者のための交流会の開催や若手研究者を対象とした研究奨励賞の授与などもしております。今後、この点でもより一層力をいれて取り組んで参りたいと存じます。

 

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、学校や大学など教育の各現場に甚大な被害が生じました。最近、日々の生活はようやく以前のような状況が戻ってきたように見えますが、3年以上にわたるコロナ禍の影響は社会の在り方や人びとの意識に多大の影響をもたらしていることと思います。こうした点を含め、私たちを取り巻く社会の変容とその下での教育の在り方を、研ぎ澄まされた視点で分析し、その成果を発信して参りたいと思います。

 

 今後ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。