筑波大学 門脇厚司
1997年12月18日
はからずも、この度、本学会の会長に推挙されることになりました。恐らく、私が10代目の会長になるのではないかと思いますが、嚇々たる業績を残された歴代の会長を思い浮かべますと、私ごとき者が会長を引き受けていいものかためらいがありました。ですが、学会がいま抱えている難問や課題が少なくないことを考えますと、学会の将来のために何程かのことはしなけれぱならないのだと考え直し引き受けることに致しました。浅学非才の身であることは重々承知しておりますが、引き受けた以上は、創設50周年記念事業も含め、任期中なすべきことは成し遂げたいと心しておりますので会員諸氏のご協力を切にお願い致します。
本学会の会員数は1997年末現在でほぼ1300名、私が新堀通也会長のもとで事務局長の任にあった14、5年前は600名ほどでしたから、このところ年平均50名ほどのピッチで会員が増えてきたことがわかります。会員数が1000名に達することが確実になった頃、当時会長であった天野郁夫氏らと、この学会も会員が1000人を越えたら、体質も変わるだろうしそれに伴い学会の運営の仕方も大きく変えなけれぱならなくなるだろうと内々話し合っていたことを記憶しています。そしていま、それが現実となり、事務局の移転やそれに伴う事務局業務のスリム化・外部化など、学会は新たな運営を迫られることになりました。
新たな学会運営を余儀なくするこうした動きは潮木前会長の任期中に一気に顕在化したようで、対応策を練るべく耳塚理事を委員長として組織された「事務運営態勢の効率化に関するワーキンググループ」がすでに具体案をまとめてくれています。また、私の任期中に学会は創設50周年を迎えることになりました。それに伴う記念事業の遂行も会長としては頭の痛いことですが、この件についても永井前理事をまとめ役とするワーキンググループが組織され準備作業を開始してくれております。加えて、前会長は学会運営の効率化を進め、かつ学会の情報発信能力を高めるべくインターネットの導入と活用を率先して推進してこられました。となれば、新会長としての私の役目は、新しい局面に遭遇した学会のさらなる発展を目指し、前会長が整え進めてこられた対応策を着実に実行に移すだけのこと、抱負など開陳しているゆとりなどないというのが正直な気持ちです。
会長就任の挨拶をする前に、すでに新しい事務局体制での学会運営に入っておりますが、ありがたいことに、効率化ワーキンググループのまとめ役であった耳塚理事が事務局長として再登板することを引き受けてくれました。また、” 女性初の ” ということになりますが、天野正子理事は紀要の編集委員長を承諾してくれ、藤田理事は50周年記念事業特別委員会の委員長として事業に取り組んでくれることになりました。共に心強いことだと思っております。もちろん、新事務局長、新委員長のもとでの事務局各部の部員や委員の選任と承認・承諾も終えております。あとはなすべきことをなすのみです。
理事会での意見や提言を尊重しつつ、また会員諸氏の声にも耳を傾けつつ運営に当たるつもりですが、時にはいささか強引な学会運営になるかもしれません。もしそうしたことがあったとしても、いま学会が直面している難しい局面を乗り切るための止むをえない措置とご賢察下さり、学会の運営にご理解とご協力を賜りますよう改めてお願いし、就任の挨拶と致します。