会長任期の終了にあたって

 

 2007年9月22・23日、茨城大学において開催されました第59回大会を終え会長の任期を終了いたしました。学会の運営には、かつて事務局長、編集 委員長、渉外部長をさせていただいたこともあり、ある程度わかっているつもりでしたが、学会の規模が大きくなり、運営事務の一部外部委託が行なわれるよう になるなどのなかで、諸事変わっている面がありとまどうこともありました。事務局は長年の間、東京大学教育学部の教育社会学研究室に固定して置かれ、理事 会も東京大学において開催されていましたが、会長の交代とともに事務局と理事会開催の場所も適宜変えざるをえない状況になりました。今回は、私が放送大学 にいたこと、事務局長を放送大学の岩永雅也氏にお引き受けいただいたことから、放送大学東京文京学習センター(地下鉄茗荷谷駅近く)で開きましたが、間 違って東大のほうに行かれる方がいたりと、事務局メンバー、理事の方々には多々ご不便をおかけした次第です。

 

 しかし、学会の運営は、事務局、編集委員会、学会事務センターに代わって新たに学会事務委託をお願いしているガリレオなどの精力的なご努力のお陰で、問 題なく遂行することができました。心より感謝しております。ただ長年、慣行として関東地区の理事を中心に開かれてきた理事会には、種々課題も出てきており ました。教師教育にかかわる諸改革が浮上するなどのなかで、当教育社会学会として対応すべき課題などについて、重要な意思決定を行なわなくてはならないこ とが出てきましたが、そうした決定を行っていく上でも、理事会等のあり方について検討する必要性を痛感するにいたりました。そういうことから、多くの方の ご意見、ご助言を得ながら、学会運営の抜本的改革を検討し、そのための会則改正を大会時に開催された総会でご承認いただいたところです。学会は来期で還暦 を迎えることになるわけですが、学会運営の改革が、学会、教育社会学研究の大きな飛躍の契機となることを期待しています。

 

 教職大学院ができるということなどと関連して、教育社会学のこれからに危惧を抱く方も多く、それについて直接審議会関係者に個人的に意見を聞いたりもし ましたが、直接学会として要望書を出すことがよいといった状況ではありませんでした。そこで学会として、教育実践にかかわる出版を企画したらどうかという 提案を行い、それを検討するワーキング・グループを設け、大阪教育大学での総会でその方向についてご了承をいただきましたが、結局、これについては検討が 進展しませんでした。耳塚会長のもとで、新たにご検討いただければと思っています。また、台湾の教育社会学会との交流の話が石戸教嗣氏を通じて出てまい り、先方と直接東京で何回か会って相談し、それを理事会に報告しながら、石戸氏に連絡・交渉をしていただきましたが、韓国や中国も含めた東アジア地域の交 流に広げたいという当方の意思と、まず日本との交流を深めたいというような台湾方の意思との間に開きがあるなどの諸経緯のなかで話は中断(立ち消え)の状 況になっていますが、近隣諸国の教育社会学会との交流・連携を深めることは重要な課題だと思っています。

 

 また、年次大会は2日を原則とすることになりましたが、大会開催大学の決定はなかなか容易ではありません。第59大会は茨城大学(小島秀夫実行委員長) でお引き受けいただき、第60回は私の古巣である上越教育大学の藤田武志氏が中心となあって開催できることになり、感謝するとともに安堵しているところで すが、大学を開催場所にするというこれまでの方式だけでなく、それ以外の形も検討の余地があるように思われます。

 

 以上、耳塚新会長のもとで、本学会がさらなる発展をすることを祈って、退任の弁といたします。