放送大学 新井郁男
2006年1月
大きく成長した日本教育社会学会の会長をお引き受けすることになり、緊張の毎日です。学会運営の仕事にかかわったのは、今は昔といったところで、有本前 会長からご連絡をいただいたときには、ずいぶん迷ったのですが、諸般の事情を考え、やむなく受諾した次第です。いくつかの学会の運営も経験いたしました が、会員が1400人規模になった本学会の運営は、事務局の方々のメールのやり取りを見ているだけでも、大変であることを、改めて痛感しています。学会は 事務センターの破綻にともなう難局を有本前会長のもとで乗り切られ、新たにガリレオへの学会事務委託を進められ、学会運営を軌道に復帰されたことをまず もって多といたします。
脱線しないようにしなければ、というのが緊張のもとですが、幸い、大学同僚の岩永雅也氏に事務局長を承諾していただき、事務局、編集委員会などの編成を することができ安堵しています。しばらく休みたいという方も多く、前体制での困難がいかに大きかったかがうかがわれますが、おかげさまで強力な新体制がで きたと思っています。本学会は、伝統的に事務局に支えられて運営されておりますが、会員諸氏の声を反映させながら運営にあたる所存ですので、ご協力、ご理 解を賜りたいと思います。会長としては、大会の開催をお引き受けいただける大学を交渉することが大きな課題の一つです。第58回は大阪教育大学での開催が 決まっていますが、そのあとお引き受けいただけるところがあれば、ご連絡いただければ幸いです。大会は、従来3日で行うことが慣例でしたが、開催機関に とっても会員にとっても、3日というのは大変だということで、2日を原則とし、開催機関の裁量で3日でもよいということが決まっているところです。500 人くらいの参加者があるため、大会運営も大変だと思いますが、積極的なお申し出をお待ちしております。
昨今は、学校のなかで、また、学校をとりまく地域において、子どもにかかわるさまざまな問題が次々と起こっています。また、そうした状況を背景に、さま ざまな教育改革案が矢継ぎ早に提案され、急ピッチで実施されつつあります。それらはいずれも教育社会学の研究対象として重要であり、実際にも、学会などで の研究発表も、こうした現実を反映してそうした諸問題が取り上げられています。今回、第57回を放送大学でお引き受けしてみて、そのことをつくづく感じま したが、それだけに本学会の責任も大きくなっているのではないかと思っています。教育社会学は、社会学をベースにして教育についての研究を行う学問分野で あり、実証性を重要視してきました。そのことが教育社会学研究の基本であることには変わりはないでしょうが、諸問題、諸改革などに、実証ということも踏ま えながら、批判、提言などを行っていくことが重要でしょう。多くの会員によって、そうした努力が行われ、社会的にも注目されているところですが、学会とし ても、一層の対応が必要ではないかと思っています。
以上、所感の一端を述べて、会長就任の挨拶とさせていただきます。