潮木守一
1997年11月13日
(a40493a@nucc.cc.nagoya-u.ac.jp 当時)
(m_ushi@musashino-wu.ac.jp 1999.6.4現在)
(1)会長任期の終了に当たって、一言御挨拶を申し上げたく存じます。まずは小生の任期中、全国各地の会員からよせられた御支援、御協力、御激励に、心から感謝いたします。とくに新堀通也名誉会員への推挙の件、学会創設50周年記念事業委員会の発足の件などでは、格別の御支援、御協力を頂き有り難うございました。思えば過去2年間、我が学会を取りまく環境は大きく変化いたしました。なかでインターネットの世界的普及は、我が学会にも大きなインパクトをもたらしました。2年前会長職をお引き受けした時、この時代のうねりに学会としてどう対応するかが、小生にとっての大きな課題となりました。そこでともかく会員の皆さんに、どのような時代が開かれようとしているのか、その具体的な姿を直接体験して頂くために、勤務先のサーバを借用して、「会長就任のご挨拶」を発信いたしました。それとともに、海外ではどのような革命的な変化が起きているのか、その実際の姿をみて頂くために、1996年1月には「電子ジャーナル発刊の呼びかけ」というメッセージを発信いたしました。全国各地に散在する会員各位に、できるだけ早く、最新情報をお届けすることこそが、学会本来の使命と認識したからです。
(2)それ以来、会員各位には小生の意図を理解して下さり、学会のホームページの積極的活用に御協力を頂き、感謝の申しようもありません。なかでも研究部はいち早くこのホームページの画期的な効用を認識され、1996年の九州大学での大会、1997年での千葉大学での大会と引き続いて、課題研究の提案者の報告レジュメを、大会開始に先立ってホームページ上に公開し、当日会場での討論をより充実したものにするという、我が学会始まって以来の、画期的な試みを実施して下さいました。しかも、こうした会員相互の意見交換は大会終了後も継続され、その内容がホームページ上に紹介されると、それがさらに話題を呼ぶといった、インターネットならではの効果をじゅうぶんに発揮して下さいました。お陰様で、この学会ホームページは今では、支部の活動、各種の研究会、講演会、海外からの情報などを、いち早く会員に連絡する上で、欠かせない役割を果たすようになりました。
(3)さらにはまた、1997年の総会で御承認頂きましたように、近いうちに我が学会の機関誌「教育社会学研究」の創刊号から最近号までが、学術情報センターの電子図書館プロジェクトの一環として、採録されることになりました。その結果、これからは研究室にいながらにして「教育社会学研究」の既刊分すべての号に収録されたすべての論文に、アクセスできることとなりました。これも会員皆様のデジタル情報へのご理解があったからのことと存じます。
(4)さらにまた1997年3月からは、「実験オンライン・ジャーナル試行版」(1997年3月9日)という、他の学会にはまだ例の少ない企画を開始し、全国各地の会員が自分のホームページ上で発表している論文に、学会のホームページからリンクを張り、容易にアクセスできる方式を作り上げました。お陰様で、このオンライン・ジャーナルへの掲載論文も着実に増加しつつありますので、今後もこうした努力が蓄積されてゆけば、将来はこのページを中心として教育社会学分野での一大論文集ができ上がることも夢ではなくなりつつあります。
(5)勿論、ここまで到達するには、いくつかの壁がありました。なかでも、いつまでも名古屋大学大学院国際開発研究科のサーバに「間借り」しているわけにはいかないという事情は、大きな問題でした。ところが、「時代は時代の求めるものを生み出す」というのは永遠の真理らしく、1995年末には文部省学術情報センターが学協会に対して、各自のホームページを作成・掲載するスペースを提供してくれるという、当初にはまったく予想もしない事態が到来いたしました。これこそ、全国各地の学協会が求めていたシステムで、我が学会も当然のことながら、これを渡りに船と、学術情報センターの提供する Academic Society HomeVillageに参加することとなりました。それは1996年9月のことで、その経緯については、「学術情報センターへのホームページ移管について」(1996 年9月17日)に述べてあります。おそらく、学術情報センターからこのような環境が提供されなかったら、我が学会のホームページも、かなり違った運命をたどったことでしょう。ちなみにこのAcademic Society HomeVillageへの登録学会数は、我が日本教育社会学会が登録した時は、確か30以下だったと思いますが、2年後の今では200近い数に増加しております。(それを御確認なさりたい方は、ここをクリックして下さい)
(6)このように、わずか2年間の間でしたが、そこには目まぐるしい技術的、制度的変化がありました。恐らくこれからはもっと目まぐるしい変化が起こることでしょう。この変化のなかを、我が学会がいかに対応してゆくかは、依然として大きな課題と存じます。しかし我が学会は門脇新会長という行動力溢れるリーダーをえ、その強力なリーダーシップのもとに、これからも新たな脱皮を続けてゆくものと確信しております。最後になりましたが、インターネットの利活用のしかたにつき、いろいろアイディアを提供して下さったインターネット導入ワーキンググループの各位、またホームページの更新作業という裏方を担って下さったパスワード管理委員の諸兄に心から感謝いたしたく存じます。
(この文章のデジタル版は、http://wwwsoc.nii.ac.jp/jses2/intro/message/ushiogi_retire.html に搭載されており、そこからは各関連する文章へのリンクが張られています。)